2008年04月01日
この町で生まれて38年、途中大学進学の際と修行時代に約10年離れましたが、また戻ってきて今年で10年目に入ります。10年目と言ってもあっという間の出来事で行動範囲はほとんど小倉時代のまま。飲みに行ったり買い物に行ったりするのは小倉や博多、地元直方にはあまり足を運んでいませんでした。知り合いは地元に残ってる高校時代の友人程度で、ほとんど地元にこだわりもなく過ごしてきました。
ここ最近になって、当院の患者さんはもちろんのこと、PTAや地域での活動が増え、知り合いの方も増えてきました。同じ道を通るにも、今まで何も考えずに通り抜けていたところを、ここは誰々のお店、あの人のお家と意識して通ると、なんだか愛着が湧いてきております。
社団法人
2007年9月より、直方青年会議所(JC)の会員となって、地域活性化のためにと微力ながら活動しているのですが、そこで出会うたくさんの地域の人々には、いつもなにかと学んでおります。中には来院者の方ももちろんいらっしゃいますが、診療室の中だけでは決して見ることのない表情やたたずまいに気が付きます。地域に出かけると、その人の本当の生活する姿に出会うことができます。今まで診療室の中だけでコミュニケーションがどうとか偉そうに言っておりましたが、今まではあくまでも歯科医師と患者という関係から抜けられていなかった、と痛感します。もし歯科医院の中ではなかったら、自分はちゃんとした人間関係を築いていけただろうか、と反省することしきりです。
地域で活動するときはあまり歯科医院の名前を出していないのですが、新町の歯医者です、と自己紹介すると、「お父さんにお世話になりました」とよく言われます。手前味噌で恐縮ですが、先代先々代が大事にしてきたものを実感できる瞬間です。
NPO法人
話は変わりますが、昨今欧米から20年遅れで、日本でもNPO法人の活躍の場が増えてきています。行政では手が届きにくいこと、企業では採算が取れないことをNPO法人で補っていこうというのが現代社会の新たな流れになっています。以前から福岡市に本部を置く「福岡予防歯科研究会」という予防歯科のスタディグループで勉強していたのですが、2000年よりNPO法人「ウェルビーイング」となりました。歯科医師の方々で立ち上げたNPO法人ですが、現在は地域での健康づくり、そしてまちづくりに重点を置いています。歯医者がまちづくりなんてできるの?と不思議な顔をされることもありますが、歯科医院は地域に近い存在ですから、むしろまちづくりを“やるべき”存在でもあります。
ところが、まちづくりというのは非常に難しい。「個」が尊重される時代ですから、人を集めてなにかしようとするのはどうしてもどこかで波風が立ってしまいます。また、現代の日本では子どもを狙った犯罪があとを絶たず、知らない人はもちろんのこと、知っている人でも注意しようという風潮にあります。発展途上国では、子どもが生まれたら地域で育てる、という文化が残っていますから、途上国や私の生まれた昭和40年代のように近所の人たちが助け合えれば、と思いますが、現代日本ではすんなりはいけそうにない部分もありそうです。
また、何かやったから、と言ってそれが形になるまでに時間がかかったり、評価しずらいことも多くあります。
まちづくり
そんな中で、まちづくりや地域の活性化を目指して歯科医院以外で活動していると言うと、同業者からは不思議な目で見られることもあります。九州歯科大学の後輩たちが、どんどん先端医療を取り入れて活躍しているのを見ても、もっと歯科医院の中でひたすら技術を磨いて精進すべきではないかと思うこともあります。
しかし一つの歯科医院だけではなく、社団法人公益法人などなどいろんな団体に所属して、活動の幅を広げることにより、歯科医院だけではできなかったことが見えてきます。歯科医院は地域の人々が自ら集まってくるエリアでありながら、これまで歯科医師の方から地域社会の中に入っていくことをあまりしなかったからか、一歩距離を置かれているのではなかろうかと思うこともあります。私もきっと地域の中で浮いた存在だったんじゃなかろうかと思います。
ふと周りを見ると、子どもの小学校の通学路に毎日立ってガイドしてくれている方、自治区長や隣組の活動を支えてくれている方、今まで気づかなかったのですが、地域のためにいろんな方々が協力していただいています。何も知らずに自分の城である歯科医院に“引きこもって”いたら、大事なことを見落としてしまいそうです。
移りゆく時代の中で、アプローチの方法は違っても、地域の活性化のために少しでも力になれればと思う今日この頃です。
投稿者 fujix : 2008年04月01日 08:05
