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2007年11月27日
最近売れてる本「生物と無生物のあいだ」を読んでいる藤田です。
基本的には高校の化学の教科書を面白く解説したような本で、カリスマ塾講師なんかが授業で使いそうなネタが多いです。難しい話に持っていくまでの導入がわかりやすくて面白い。誰もが知りえたる話から始まって、科学的な話に流れていきます。さすが売れてるだけありますねえ。
その中の一つに野口英世のエピソードがありました。お札の顔になっているくらいですから、日本を代表する偉人なんですけど、海外では意外なまでに知られていませんし、その功績も現在では否定されてたりもするようです。
これをきっかけに野口英世が気になって、渡辺淳一の「遠き落日」という本を読んでみました。
野口英世の伝記はそのほとんどが彼の栄誉を称えたものが多いのですが、それまで書かれなかった意外な一面を知ることが出来ました。
身なり構わず礼儀知らず
独善的
破調感がある
衝動買い・浪費癖
平衡感覚が無い
生活人としては一種の失格者
自分の噂話や醜聞には極端に神経質
ナルシスティック
依怙地なまでの完全主義
唯我独尊的な仕事
自己顕示欲
これはすべて作品中に出てくる野口英世を表す表現です。読めば読むほど風変わりとも言える生き方に興味を覚えます。人は誰しもこういった一面を持っているはずですが、最近はあまり個性的なのは受け入れられなくなっているような気もしませんか?
と、話はずれましたが、学問や研究への打ち込み方は並大抵ではなかったようです。例えるなら、学校の校庭から砂中に埋もれたコイン1枚をしらみつぶしに探すような感じで、毎日毎日200枚以上の細胞の標本を何年も見続け、やっと特定の細菌を見つけ出したというようなエピソードがあります。寝る暇も無く「人間発電所」というあだ名まで付いていたそうです。「人間は太陽に従って動くのだ。太陽が動いているのに人間が休むのはいけないことだ」と言ってたらしい。アメリカ時代、自身が外国人でいつ首になるかわからない環境だったことや、体にハンディがあったことなどにも起因しているみたいです。
野口英世が幼い頃に火傷をして左手が不自由になってしまったのは有名なエピソード。そのことは大変不幸なことでしたが、そのハンディがあったために彼をあそこまで動かしたということはあるようです。逆にハンディを逆手にとって、勉強に打ち込む環境を作り上げ、周りから援助金を貰っていましたが、かなり強引とも言える交渉をしてたそうです。母親の手伝いは一切しなかったようです。
ちなみに援助金を最も多く出していたのは血脇守之助という歯科医です。歯科医師なら一度はその名を聞いたことがある・・はずなのですが、私はすっかり忘れてました。そういえば去年東京歯科大学の血脇ホールというところで講演会を聞きに行きましたが、まさにそれだったんですねえ。
http://www.tdc.ac.jp/chiwaki/index.html
http://www.tdc.ac.jp/noguchi/
野口英世の論文は否定されているものもあります。有名なものでは黄熱病の病原体の発見。黄熱病予防の「野口ワクチン」を開発するのですが、実は別の病原体でした。皮肉なことに彼は黄熱病の研究に出向いたアフリカの地で黄熱病にかかって死んでしまいます。自分で開発した野口ワクチンの効果も無く・・・。
死の直前の部分は読んでいて寂しい気分になりました。伝記なので死で終るのは当たり前なのですが、死の部分を読むのが辛かったのは「竜馬がいく」以来でした。そう言えば坂本竜馬と野口英世、どこか似ているような気もしないではありません。
さて、この何十年間で医学の発達は物凄いものがありました。野口英世の論文が後になって否定されたというのも、決して本人の責任ではなく、自然科学の発展段階で学者が誤る迷路にまぎれ込んだ結果と言えそうです。これについては「生物と無生物のあいだ」にも出てきますが、DNAのらせん構造を発見したワトソンとクリックらにも面白いエピソードがありました。そのうち続きを書けたら書きたいと思います。
投稿者 fujix : 2007年11月27日 05:19
コメント
たしか、遠き落日は映画化されませんでしたか。
生物と無生物のあいだも面白そうですね。
投稿者 角西 稔 : 2007年11月27日 23:42
お!知ってるねー。まだ見てないけど、今度機会があったら(TVでやってたら)見てみようと思ってます。ターバン野口とか折ってる場合じゃない?!
投稿者 藤田孝一 : 2007年11月28日 10:25