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2007年05月09日

 ■ ちくま新書の「これも経済学だ!」中島隆信著その2

前回からの続きです。最初にこちらからお読みください。

豊かな生活を考える上で、生き甲斐や働き甲斐も必要ですが、今回は2005年秋にいきなり成立した障がい者自立支援法について話を始めていきます。

「障がい者自立支援法」は保護される弱者ではなく、自律する一般市民を目指す障害者に対し周囲が協力することを前提とした法令ですが、事前に周知されることなくあっという間に成立しちゃったものだから、かなりの戸惑いがあったものと思われます。

しかしそのきっかけとなったのは、世話をされる側に主体性を持たせる制度、つまり行政が弱者を措置するのではなく、弱者サイドがサービスを受ける消費者の立場として施設を選べるようにしよう、ということであったようです。

これは障がい者にとっても、巨大施設で管理された生活を送るよりも地域の中で自由度の高い暮らし方を選択できるという利点があります。施設は「終の棲家」を提供するのではなく、地域で普通の暮らしができるように支援する通過施設へと移行することになりました。

コンセプトとしては間違っているわけではないと思うのですが、あまりに急だったこと、そして梯子をはずすかのように、関わっていくヘルパーらの医療報酬が減らされてしまったことが現場を混乱に導いているようです。政策としてはかなりの荒治療ですが、ここから地域の力で社会保障を含めた住民のインフラ作りを行っていかなければならないのでしょうか。

「これも経済学だ!」の著者中島隆信氏は最後にこう結んでいます。「弱者だから」という理由だけで政府による所得再配分を受けてしまったら、国民から「弱者」としての身分が与えられ、その範囲でしか行動できなくなってしまう。所得を稼ぐ能力に欠ける人たちに弱者というレッテルを貼って保護するのではなく、すべての国民が普通の人間として生活していくことを目指すことが望ましい。そのためには税金による政府の所得再配分は最小限にし、別の形の支援(有志的な支援など)が望ましい、と言います。

近年の政策は特に保健医療分野で厳しいように思えますが、ここから本当にすべての人々が豊かに暮らせるような方法や仕組みを考えないといけないのでしょう。それにはかなりのブレイクスルーが必要に思えます。いろんな意見交換が重要ですね。


投稿者 fujix : 2007年05月09日 06:39