« 青の炎 貴志祐介 角川文庫 | メイン | 12人の優しい日本人 1991年 日本 116分 »
2006年03月01日
刑務官というお仕事をご存知だろうか?刑務所や拘置所で、事故やトラブルのないように収容者の日常生活を監督し、生活指導や職業訓練指導などを行い、逃走したり証拠を隠滅したりすることを防止するとともに、罪を犯して収容された人を再び過ちを繰り返さないように更生させることである。ある刑務官と殺人を犯し服役し出所する元囚人がコンビを組み、一人の死刑確定人の無罪を捜査する。世に探偵ものは数あれど、この作品に出てくる探偵役ほど強烈な設定は初めてだ。
トラブルに巻き込まれ結果的に相手を殺してしまった元囚人のその後の家族の経緯や、出所後被害者の家族に慰謝するシーン。捜査のあまり進まない前半では今までスポットの当てられることのないエピソードで物語を引っ張っていく。そしてもう一つキーになるのは死刑執行をする刑務官である。死刑執行に立ち会うまでのつらい時間をリアルに描いているのだが、その刑務官が始めて執行に立ち会うまでの間に思い出すのは、幼い頃の歯科医院の待合室である。看護婦に呼ばれて診療室に入る恐怖の瞬間を死刑執行とダブらせているのだ。「殺さないでくれ」と哀願する死刑囚の首に縄をかけ、ボタンを押して落ちていく死刑囚の姿がその瞳に焼き付けられて以来、彼が熟睡することはなくなるのであるが、死刑と歯の治療は同じイメージなんだなと思うと、なんだか私も今日は眠れそうに無い。
もう一つ。死刑執行を命令する法務大臣は、内閣改造時、つまり辞める前に命令書にサインするらしい。彼はこれを「歯の治療と一緒」と表現している。「気の進まないことはできるだけ先延ばしにする。で、後がないとわかったら、一気に片付ける。」というわけだ。手遅れになる前に治療に行きましょう!
というわけで物語自体は秀逸なミステリーなのだが、なんとなくブルーな気分である(T-T)H16.9.27
投稿者 fujix : 2006年03月01日 07:13
